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2008年3月 5日 (水)

『閉鎖病棟』箒木蓬生

精神科の病院の小説。
帯や裏表紙に殺人事件が云々書いてあって、推理小説のような感を受けなくはないが、そういったジャンルの小説ではない。
精神科の病院の内部を、患者の視点から書くといったことが、書かれているが、一人称小説ではない。

淡々と精神科内部の日常が描かれているが、この「淡々と」というのがポイントなのではないかと思う。
言葉が暖かいのだ。なんでもない言葉こそが暖かいのだ。
主人公は、「患者」である。
精神の病を抱えた患者に対して、普段の言葉を使って淡々と描写する。
それだけで、暖かい。

「あなたは自分のどういうところが病気だと思いますか?」
という言葉に、チュウさんは答えられない。
「あなたは自分のどういうところが正常だと思いますか?」
という問いに、同じように僕は答えられないのではないかと思う。

境界を引くのは人間である。
言葉というメスを使い世の中を切り取っていく。
僕も社会の中で言葉によって切り刻まれていく。
切り刻まれていない僕とはどこにいるんだろうか?

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